海上保安学校卒業式
去る9月27日(土)、海上保安学校にて卒業式が挙行されました。石破茂内閣総理大臣、古川康国土交通副大臣、瀬口良夫海上保安庁長官がご臨席となったこの式典において、2022年3月に本校を卒業した、伊豆七海(いずななみ)さんが総代(卒業生代表)を務め、卒業生答辞を述べました。
海上保安学校は、京都府舞鶴市に居を構える、全寮制の学校です。海の安全と秩序を守る海上保安官を育成する学校で、学生は入学と同時に海上保安庁職員、国家公務員となります。
卒業生のみなさん全員が、白い制帽、制服に身を包み一糸乱れず整然と入場。呼名には会場に轟く発声で「はい」と応え起立をしました。
ご自身が卒業生でもある学校長、松浦あずさ先生が、式辞の冒頭「本校の厳しい教育訓練を見事に乗り越えたみなさんを心から誇りに思います」と学生たちに話しかけました。海上保安官としての決意の象徴である梅の花に触れ、「梅は、長い冬を耐えどんな花よりも固く開きかぐわしい香りを放つ。花を散らせた後にも実を結ぶ。この梅のように、息長く常に国民に寄り添い親しまれる存在であれ」と海上保安官としての心構えを伝えました。海上の治安と安全を守るという任務は過酷を極めます。松浦先生は、保安官に立ち塞がる「心が折れそうになる瞬間」がいずれ訪れることを見据え、「心配しなくてよい」と学生たちに力強く語りかけます。「ここでの教育訓練を乗り越えることができたみなさんには、梅のように困難な状況を乗り越えて咲く、力と強さがちゃんと備わっています」と、激励のことばを送りました。
式次第最後を飾る「答辞」では、「本科船舶運航システム課程航海コース第66期、伊豆七海」と呼名され、伊豆さんが登壇。卒業生を代表して挨拶を述べました。
伊豆さんは、入学時に抱いた「ここから始まる生活について行くことができるのだろうか」、と期待と不安が入り混じった当時の気持ちを吐露。また「まだ夜の明けきらぬ早朝に整列し、冷たい風が肌に吹きつける中で声を上げ前を向き、乗り越えた幾多の訓練があった。だからこそ現場に必要な体力と精神力を培うことができた」と在学期間を振り返りました。そして、「厳しい生活を乗り越えることができたのは、互いを支え合う同期の仲間と愛情を持って指導してくれた教官の先生方、故郷で見守り続けた家族がいてくれたお陰であった」と感謝のことばを続けました。自分が成長を遂げた地、鶴舞市と市民の方々への惜別の念を表し、「国民の安心と安全を守る「海の守り人」になれるよう、一歩一歩力強く進んでいきます」との決意のことばで答辞を結びました。
伊豆さんは、本校在学中は硬式野球部に所属し、競技に専念する高校生活を送りました。学業面でも優秀で3年間選抜クラスに所属し、文武両道に秀でた高校生でした。一層の躍進を遂げられている伊豆さんに、エールを送らせていただきます。