ベトナム語学研修 ~現地レポート3日目~
米本先生から、7月16日(水)の報告です。
「本日は、言語は人と繋がるための鍵であり、互いを理解し合うための単純かつ重要なツールであることを実感した1日でした」
今朝は、8時に2台のバスで出発し、ダナン南方の山奥にある少数民族、カヨン族の村に向かいました。この村は、FIDRという日本のNGOが開発援助を行っており、今回初めて観光地デビューしたそうです。片道3時間ほどかかる道中では、大型バスが通れないほど狭い道でダンプとすれ違い、まるでジェットコースターのように起伏の激しい山道は未舗装の部分が多く、路面の凸凹に悩まされました。
村に到着したのは11時を過ぎていました。すでに気温がかなり上がっていたため、バスを降りた途端、滝のような汗が流れました。そんな中、カヨン族のみなさんが我々の到着をダンスで歓迎してくれました。私たちがその踊りの輪に加わることが、交流のスタートとなりました。歓迎のダンスが終わると、早速ビーズ作りを体験しました。ビーズはカヨン族の伝統工芸品で、ネックレスやブレスレットなどの装飾品として用いられています。カヨン族の人達はベトナム語で説明するので、ガイドさんの力を借りながらの作業となりました。悪戦苦闘の末、なんとか全員が世界で一つだけのブレスレットを完成させることができました。昼食では、現地の料理を堪能しました。ちまきをはじめ、周辺の山菜炒めや竹の子と豚肉炒め、豚の串焼きなどたくさんの料理をご馳走になりました。囲炉裏を囲んでの食事が功を奏し、次第に打ち解け話が弾みました。さっきまで会話ができずに苦戦していた生徒たちが、聞きたいこと一つひとつをベトナム語でなんと言うのかをガイドさんに聞きながら、なんとか仲良くなろうとしていました。生徒たちの探究心とチャレンジ精神は私も見習わなければと思いました。
午後は、男女に分かれてカヨン族の生活体験をしました。彼らはいまでも伝統的な高床式の家に暮らし、臼と杵で精米したコメでちまきを作っています。生徒たちは慣れない手つきで玄米を杵で突いていましたが、力が弱すぎるとやり方を教えてくれた女性から笑われてしまいました…。暑い陽射しの中でしたが、狩猟用のクロスボウで矢を射たり竹かごを編んだり、みんな初めての体験に夢中で取り組んでいました。なんでもスーパーの棚に並んでいる日本の生活とは違い、全ての営みを自らの手で行うカヨン族の生活から、生徒たちは強い刺激を受けた様子でした。
いよいよお別れという場面では、皆握手やハグを交わしながら別れを惜しんでいました。その光景は、互いを理解し合おうとする姿勢が他国の人々との絆を生み、言葉の役割が不可欠であることを再認識させるものでした。生徒たちが、カヨン族の同年代の子どもたちから、たくさんベトナム語を教えてもらっていた場面が大変印象的でした。
夜はロッテマートで食事を摂りスーパーで買い物をして、20時ごろホテルに戻りました。そこから22時ギリギリまでプールで遊ぶ生徒が多くいましたが、今日は絶対に疲れていると思うので、明日のダナン大学生との交流に備えて、ゆっくり休んで欲しいです。